人間の体は、複数の関節、筋肉や神経などが複雑にからみ合い、目的の動きを達成する高度な仕組みを備えています。3Dのキャラクターアニメ-ションは、これらの複雑なシステムを模倣し、動かす必要があります。
それゆえ、キャラクターアニメーションはCGの中で最も高度な技能と技術を要求されると言われています。キャラクターの外見ばかりでなく、動きの個性や表情なども入ってくると、やることはそれこそ膨大な量になるかも知れません。でも、複雑だからといって、習得は不可能かと言えば、そうではないと筆者は考えます。全体としては、一見複雑なこのシステムも、単純なものの組み合わせでできているだけだからと思うからです。まあ、単純なものは、かなりたくさんありますが。(涙)。必要なものは、「あきらめない心」だけです(え~)。
今後、本サイトはだんだんと、周辺の雑多な情報だけでなく、モーショングラフィックスやキャラクターアニメ-ションの記事に特化していけるようにしていこうと思っています。で、今回は、キャラクターアニメーションにおいて、どの3Dソフトでも共通する超のつく重要な考え方があるので、これを抜きに記事は書けないと思いましたので、本日はそれをご紹介いたします。
回転を考える時に必要なこと・その1(支点)
実に単純なことなのですが、回転運動は「どこを中心に回るか」はとても大切な考え方です。車のドアは、ちょうつがいの仕組みを使って、ヒンジ部分を中心に回転します。そうでなくては、ゆるみなくドアを開け閉めすることはできませんよね。テニスの場合は、フォアハンドは肩を軸にラケットを回してしまうと、いわゆる「ドアスイング」になってしまい、パワーが出ません。肘を中心に回転するいわゆるプロネーションを使う必要があります。ちょっと余談になりました。
そうです。どこを中心に回るかを設定しないと、物は正しく回転しません。では、一本の棒を回転させるとき、支点をどこにするかで、回転の仕方は変わってしまいます。画像でお見せします。


もしも、人間の肩の回転を表現するなら、どちらの回転を選択すればいいか、お分かりだと思います。そうです。回転軸を移動させたほうですね! 軸の位置を編集するには、「軸を有効」ボタンをONにします。そして、軸の位置を「移動ツール」で変更すればできます。

回転を考える時に必要なこと・その2(階層)
ここでは話を単純にするために、ドラえもんのような腕を回すことを考えます。腕は、「二の腕、腕、手首」で構成されているもの、とします。
この「腕全体」を単純に「回す」にはどうしたらよいでしょうか。実はこれが、3DのCGを学びたての時に、最初につまづきやすいポイントとなることが多いと思います。
上の図でいけば「二の腕、腕、手首が、一本の棒のようにつなげて、肩を支点として回す」ことなのはお分かり頂けると思います。われわれの認識では当たり前すぎて、退屈に思われるかも知れません。ところが、コンピュータで処理するには、このままでは3つのパーツはバラバラのままです。
3つが連動して動くためには、「腕の動きは二の腕に従って動く」→「手首は腕の動きに従って動く」という流れを、コンピュータで処理できるようにする必要があります。それを表現するのが「階層」という考え方です。文字で表現すると難しく感じられるかも知れませんが、ご自分の腕を回して見ると、そんなに難しい考え方ではないことが分かると思います。関節のようなパーツを構成するのに、「階層」という考え方が非常に大切になってきます。嬉しいことにC4Dは、この「階層」という考え方が非常に分かりやすい作りになっています。それは、「オブジェクトマネージャで階段状にドラッグするだけ」でできるからです。
このようにすれば、階層はOKです。
いかがだったでしょうか?あまりにも単純過ぎる、当たり前のことのないようかも知れません。ですが、ここを抜きに、キャラクターアニメーションは成立しないので、とても重要です。次回は、さらにキャラクターアニメーションに特化した回転の考え方となる、FK(フォワードキネマティクス)とIK(インバースキネマティクス)について解説をしていきたいと思います。
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